アナキズムの再生


アナキズム×コミュニズム論争史の中から
脱近代の思想を再生する
脱近代の思想を再生する
世界史は“近代の終わり”を告げている。
それがいま、あらゆる思想の出発点にならなければならない。
ロック・ルソー・カント・ヘーゲルらのヨーロッパ近代精神を、マルクスは、社会主義の運動に引き継いで完遂しようとした。
たいしてプルードンは、近代原理と近代国家そのものを超克しようとした。
コミュニズムの父=マルクスとアナキズムの父=プルードン
相剋の軌跡をたどりながら、近代の終わりに新しい社会の始まりを見る。

大窪一志(おおくぼ かずし)
1946年、神奈川県に生まれる。
東京大学文学部哲学科卒業。
在学中は、共産党員として学生運動に参加。筑摩書房、日本生協連などで編集者として働いたのち、フリーの編集者・著述者として活動。
主な著述に『日本型生協の組織像』(コープ出版)『「新しい中世」の始まりと日本』(花伝社)『素描・1960年代』(川上徹との共著、同時代社)、主な訳述にグスタフ・ランダウアー『レボルツィオーン 再生の歴史哲学』、
ジョン・ホロウェイ『権力を取らずに世界を変える』(四茂野修と共訳)(いずれも同時代社)などがある。

掲載
- 書評が『図書新聞』(2009年11月27日 第2991号)に掲載されました。
近代の終焉のなかで、著者は右翼・左翼といった空間の比喩で語られてきたポリティクスは終わったとして、時間の比喩で語られる超近代のポリティクスを提示している。
それは自然の時間と共鳴するリズムを基調とする生の思想である。
著者は大杉=アナ派の「生の拡充」すなわち相互扶助のアンチ・ポリティクス(反政治)を、 近代超克の出発点に据えるのである。(図書新聞編集・米田綱路氏/『図書新聞』第2991号より)